こんにちは！カエサルです！
先日、二ホンジカのルーツについて少しお話しさせていただきましたが、実は二ホンジカの中に、由来に関する遺伝的研究がほとんどなく、周辺地域のシカとの遺伝的違いも不明という不思議な二ホンジカが存在します。
その二ホンジカはある地域にいるシカなのですが、どこか思い浮かぶでしょうか？
ある地域とは、『奈良公園のシカ』。
そうです。
あんなにも観光客でにぎわい、日本人なら誰もが知っているのではないかと思われるあの二ホンジカのルーツは最近まではっきりと解明されていませんでした。
この『奈良公園のシカ』の調査が、福島大学や山形大学、奈良教育大学のグループの方々によって行われました。
研究グループは奈良公園周辺のほか、京都、三重、和歌山の4府県の野生のシカ294頭分の筋肉や血液を収集しました。DNAを抽出し、母から子に伝えられるミトコンドリアDNAの遺伝子型（ハプロタイプ）などを分析しました。
このミトコンドリアDNAのハプロタイプ解析は、同一種の集団分化を調べるときの有力な研究手法だそうです。
調査の結果、紀伊半島内ではミトコンドリアDNAのハプロタイプが18種確認されましたが、奈良公園のシカは他地域では見られない1種だけが検出されました。
驚きですね(゜o゜)
さらには、父親と母親の双方から伝わる核DNAの解析をしたところ、紀伊半島のシカは、奈良公園、紀伊半島東部、同西部の3集団に大別されることが判明したそうです。
『奈良公園のシカ』達はおよそ1400年程前に分岐。
その後、現在からおよそ500年程前に半島東部、半島西部の2集団に分かれたと推定できたそうです。半島中央のシカは東部と西部双方のシカが混合していたとの調査結果もでました。
昔の日本では二ホンジカを食用などで狩猟していた過去がありますが、『奈良公園のシカ』がいる近くには春日大社があります。春日大社はシカを「神鹿（しんろく）」として扱い、手厚く保護していました。
その結果、他のシカ集団と交流がないまま独自の遺伝子型を持つ系統として維持されてきたと推測されたようです。
とても興味深い調査結果ですね。
今後の研究も楽しみです。
本日も読んで下さってありがとうございました！
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